株式投資

原油価格がマイナスに?その理由と今後の先行きについて解説します

原油価格がマイナスになったとは一体どういうことでしょうか。

この記事を読めば、その真相や原因、そしてこの先の動向について参考になると思います。

私自身、原油に投資しており、衝撃的なニュースだったのでお伝えしたいと思います。

 

マイナスになったのは「WTI原油先物価格(5月限)」
その理由は?

4/21(火)、「WTI原油先物価格(5月限)=-37.63ドル」を記録しました。

これは史上初めての例です。

原油の種類には、大きく分けて、以下の3種類があります。

  1. ブレント原油
  2. ドバイ原油
  3. WTI原油 (←今回大マイナスを記録

※ WTI原油とは、アメリカ テキサス州周辺で産出される原油の総称です。

 

理由①:新型コロナウイルスによる原油需要の低下

これは皆さん容易に想像できると思いますが、外出自粛による消費の冷えこみにより、

物が売れない→生産量を制限する→原油由来の資材や電気の使用量が減る→原油需要低下

そもそも外出しない→公共交通機関や飛行機、車を使わない→ガソリン需要低下→原油需要低下

どう解釈しても、当面原油の需要は期待できません。

世界で戦争でも起これば、原油需要の高まりを期待できますが、そもそも人類が生きるか死ぬかのウイルスとの戦いをしている中で、あまり現実的ではありません。

 

理由②:貯蔵施設が満タンに近く、投資家が投げ売り

WTI原油の先物取引は、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で行われており、最終取引日は4/21(火)でした。

通常であれば、投資家の多くは「買い」で売買が終了しても、貯蔵を委託後、売却すれば済む話ですが、

昨今の原油需要の低下と、産油国の減産協定の破綻により、貯蔵場所の確保が難しくなっています。

その上、投資家自体は原油を引き取る能力も貯蔵設備も持っていないので、取引最終日4/21(火)になんとしてでも売ろうと、多くの投資家が「売り」を強行したのです。

北海ブレント 、ドバイ原油先物価格は下落しているものの、マイナスにはなっておらず、特にWTI原油(アメリカ)の貯蔵施設の空きが減少していることが伺えます。

WTI原油の現物受渡し場所は、オクラホマ州クーシングですが、周辺貯蔵施設はどこも貯蔵余力がないようです。

 

理由③:原油供給量が過剰すぎる

WTI原油先物価格がマイナスとなった直接的な理由ではありませんが、原油価格が下落し続けている理由の一つに、産油国の協調減産(原油価格の下落を抑制するため、皆で生産量を減らすこと)が決裂していることが挙げられます。

まず、原油の生産量ランキングを見てみましょう。

1位:アメリカ、2位:サウジアラビア、3位:ロシア

上記の3ヵ国で世界の年間生産量の約40%を占めています。(Global Note 2018年度)

つまり、これら3ヵ国を筆頭に原油の生産量を抑制できるかが鍵となります。

サウジアラビアはこれまで、ロシアに協調減産を持ちかけていましたが、ロシアが拒否したことで一転増産へ。

それを皮切りに、協調減産は合意されることなく、お互いがお互いの首を締める潰し合いが始まり、原油価格が大暴落しました。

今後、OPECプラス(ロシアとサウジアラビア)やアメリカなどのOPEC非加盟国がどれだけ協調減産を遵守できるか、注目です。

 

原油先物価格は今後どうなるか

結論として、原油価格は緩やかに上昇していくのではないかと考えています。

サウジアラビアやロシアではなく、アメリカの今後の動向が原油価格に大きく影響を及ぼすと考えていいでしょう。

そもそも、サウジアラビアやロシアが減産に合意できないのは、アメリカのシェール企業が減産に協力しないから。

アメリカがどう動くかを予想してシナリオを考えてみましょう。

 

シナリオ①:
サウジアラビア、ロシア、アメリカ間で協調減産に合意

シェール企業の原油採掘コスト、つまり損益分岐点は1バレル=約40〜50ドル程度だと言われています。

現在は、1バレル=10〜20ドル(4/21以降)で推移していますので、原油を製造すればするほど赤字経営になります。

現状、アメリカ政府は「民間に減産を命令する権限はない」との立場を示しており、自国のシェール企業を守るため、輸入原油に追加関税を設ける姿勢を見せています。アメリカは世界1位の原油産出国であり、中国に次ぐ世界2位の原油輸入国でもあるのです。

原油市場に置いて、どれだけアメリカの影響力が大きいか、、、想像できたと思います。

いずれにせよ、現在の原油価格ではどこの原油メーカーも儲からないので、楽観的考えかもしれませんが、アメリカの減産によって原油価格の緩やかな上昇が期待できると考えています。

 

シナリオ②:
シェール企業の倒産によって結果的に減産へ

サウジアラビア、ロシア、アメリカの3ヵ国で協調減産に合意できず、この状況が長期化するシナリオを考えてみましょう。

原油採掘=赤字を掘っているのと同じですから、いずれ倒産企業が出てきます。

実際に、4/1アメリカの中堅シェール企業のホワイティング・ペトロリアムが、原油安による経営悪化で破産しました。

これが連鎖的に続けば、アメリカの原油産出量はシェール企業の減少により、「減産」という形になるでしょう。

つまり、シナリオ①や②のどちらに転んでも、将来的に原油は減産され、原油価格の上昇に繋がると考えています。

ただし、新型コロナウイルスの影響で需要が落ち込んでいる以上、すぐに原油価格が上昇するということはないと思います。

 

まとめ

  1. マイナスになったのは「WTI原油先物価格(5限月)」のみ
  2. その理由は、「コロナによる需要減少」「貯蔵施設に空き容量がなく投資家が投げ売った」「協調減産の合意決裂」
  3. 原油先物価格は今後しばらくは低迷するが、アメリカの動向次第で緩やかに上昇が期待できる

 

以上、今回は原油価格の暴落が続いている中、なぜマイナスになったのか、そして今後どういった部分に注目すれば良いのかを解説しました。

これからも有益な情報を発進していきますので、よろしくお願いいたいます。

 

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